むち打ちの被害者は慰謝料を請求できる

交通事故のためむち打ちになってしまった場合、加害者からは治療費や休業損害などを支払ってもらえるのが一般的です。

(過失相殺による減額や加害者が無資力で支払えない場合のような問題もありますが今回はその点はおいておきましょう)

このような現実に出費を強いられた損害、あるいは減ってしまった収入のほかに、交通事故の被害者は、加害者に対して慰謝料の請求ができます。

むち打ちになってしまったら、整形外科等の医療機関へ通院してリハビリをすることになるでしょう。

治療費や医療機関までの通院交通費は請求できますが、ただ、突然の事故で痛い思いをした、そういった精神的な苦痛は治療費や通院交通費ではまかなえません。

このような精神的損害は慰謝料として請求していくことが可能です。

簡単に言うと、「そんな痛い思いをさせてしまってごめんなさい」というお詫びが慰謝料なのです。

信号機

むち打ち慰謝料には3つの計算方法がある

ただ、交通事故の慰謝料の計算方法というのは法律で明確に定められていません。

そのため様々な計算方法があり得るのですが、交通事故のケースでは大きく分けて3つの計算方法があります。

 

・自賠責基準

・任意保険基準

・弁護士基準(裁判基準)

 

以上の3つがありますが、どの計算方法を採用するかによって、金額が大きく異なってくることがありますので、注意が必要です。

自賠責基準の慰謝料

自賠責基準の慰謝料は、1日4200円で計算します。現在は、

4,200円×通院日数×2=慰謝料

という計算方法が採用されているようです。

ただし、治療期間が限度となりますので、たとえば治療期間が計180日、実通院日数が100日というケースでは、

4,200円×100日×2=840,000円

というのは間違った計算方法となります。

治療期間(180日)と実通院日数の2倍(100日×2=200日)では、限度である180日を超えてしまいますので、実通院日数の2倍ではなく通院期間を採用します。

そのため、

4,200円×180日=756,000円

が正解となります。

なお、自賠責基準は、あくまでも自賠責の限度額の範囲内でのみ通用する計算方法です。

自賠責保険の傷害部分は、治療費や休業損害、そして今回解説した慰謝料などをあわせて120万円が限度額となります。

軽いむち打ちであれば120万円の限度額を超えないことが多いですが、症状が重く通院が長引くような場合には自賠責の120万円という枠を超過することは珍しくありませんので注意が必要です。

任意保険基準の慰謝料

加害者の保険会社はよく、「任意保険基準で慰謝料を計算しました」などと言ってくるでしょう。

「任意保険基準」という言葉をきいてしまうと、「任意保険が支払える限界の数字で計算してくれてるのかな」と思われる方が多いでしょう。

しかし、そうではありません。

任意保険基準の慰謝料というのは、あくまでも保険会社が設けている社内基準に過ぎず、交通事故の被害者は任意保険基準に拘束されません

任意保険基準は、先述した自賠責基準よりも高い金額を設定しているのが一般的ですが、それでも後述する弁護士基準(裁判基準)よりも低額になるのが一般的です。

弁護士基準(裁判基準)の慰謝料

これは、弁護士が交渉する際の基準、もしくは裁判になった場合に裁判所が認定するであろう慰謝料の金額です。

実は、弁護士基準の慰謝料と一言で言っても、実はいろいろな計算方法がありますが、ここでは広く用いられている赤い本基準の慰謝料をご紹介します。

赤い本基準の慰謝料(むち打ちのケース)は上記のような表を用いて計算するのが一般的です。

入院なし、通院が1か月だと慰謝料は19万円、半年だと慰謝料は89万円となります。

※ちなみに、むち打ちでも後遺障害等級12級が認定されるようなケースではもう少し高い算定表(別表1基準)を利用したりします。

どの慰謝料計算方法を採用すべきか

ケースバイケースではありますが、慰謝料の金額は

弁護士基準(裁判基準)>任意保険基準>自賠責基準

となるのが一般的です。

そのため、弁護士は裁判基準で慰謝料を計算して加害者に請求していくのが一般的です。

自分の慰謝料はいくらなのか、気になったら弁護士に相談を

以上のように、どの算定方法を用いるかによって慰謝料は変わってきます。

自分の慰謝料はどの程度の金額が妥当なのか、気になったらまずは弁護士にご相談ください。

アウル東京法律事務所では、交通事故のむち打ち被害については、無料法律相談が可能です。

ご相談時に慰謝料の計算も可能ですので、お気軽にご相談ください。