交通事故のためむち打ちとなった方は加害者に対して慰謝料を請求できます。
この慰謝料には下記の2種類があります。
(1)入通院した期間をもとにした入通院慰謝料
(2)後遺症が認められた場合の後遺障害慰謝料
入通院慰謝料はなんら後遺症が残らなくても請求可能です。
一方、後遺障害慰謝料は後遺症が残ってしまい、かつ、後遺症が残存していると認定された場合に請求可能な慰謝料です。
1.交通事故の後遺障害の認定はどこでやってくれるの?
単に「痛みが残っている」「しびれが残っている」と主張するだけでは、加害者は後遺障害慰謝料なんて払ってくれないのが一般的です。
後遺障害慰謝料等を請求するには後遺障害の認定を受ける必要があります。
加害者が自動車やバイクを運転していたであれば、まずは加害者が加入している自賠責保険(共済)に対して後遺障害の認定を求めることが一般的です。
自賠責に対して後遺障害の認定を求めると、通常、損害保険料率算出機構という第三者機関で後遺障害として認定するか否か、認定するとしたら何級に該当するかを判断することとなります。
このほか、裁判所も後遺障害の認定をしてくれます。
裁判所の認定は、独自に後遺障害の認定をする制度があるわけではなく判決を通して認定するのですが、裁判所は自賠責の判断には縛られないので自賠責では非該当となったものが裁判所では後遺障害として認定されたり、自賠責の認定よりも上位の等級に相当するとの判断をされることもあります。
(とはいえ裁判所も自賠責の判断を尊重する傾向にありますので、過剰な期待はすべきではありませんが)
なお、加害者が自動車やバイクではなく自転車であったような場合には、自賠責での認定は使えませんので裁判手続きの利用を積極的に検討していく必要があるでしょう。
2.一般的にむち打ちで認定される等級
12級 または 14級
交通事故によるむち打ちのため、痛みやしびれといった神経症状が残ってしまった場合に認定される等級は12級か14級のいずれかであるのが一般的です。
3.14級の後遺障害慰謝料
110万円
14級が認定された場合の後遺障害慰謝料はずばり110万円が妥当です。
相手方保険会社は32万円という数字を提示してくることがあるでしょうが、これは自賠責基準の数字です。
いわゆる弁護士基準(赤い本基準)では110万円が妥当といえます。
なお、くどいようですが慰謝料はこの後遺障害慰謝料だけでなく入通院慰謝料の請求も可能ですので、注意してください。
4.12級の後遺障害慰謝料
290万円
12級が認定された場合の後遺障害慰謝料はずばり290万円が妥当です。
12級はなかなか認定されませんが、認定されればこのように大きな金額を請求可能です。
ちなみに13級が抜けてない? と思われた方もいるかもしれませんが、痛みやしびれといった神経症状の場合には13級の認定はないのが一般的です。
12級が認定されるケースは少ないですが、このように2つも等級が上がってしまうので、自賠責としても12級の認定に慎重になっているのではないかと考えられます。