むち打ちの分類

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photo_006交通事故によるむち打ちと一言で言っても色々なものがあります。
そもそも診断書に『むち打ち』と記載する医師はほとんどいません。
頸椎捻挫、頚部打撲、外傷性頚部症候群、腰椎捻挫、腰部打撲などという傷病名がつけられるのが一般的ですが、頚椎捻挫であればこういう症状が出て、頚部打撲であればこういう症状が出る、と決まっているものではありません。
これらむち打ちと言われる傷病は医学的に完全に解明されているわけではなく、症状等に応じて様々な分類がされています。
ここでは、1968年に土屋弘吉らが発表した『土屋の分類』といわれるものと、近年問題になっている脳脊髄液減少症、胸郭出口症候群、繊維筋痛症について簡単にふれていきます。

※診断書に『頚椎捻挫』と書かれても、必ずしも以下で解説する土屋の分類における『頚椎捻挫型』に当てはまるとは限りませんので軽視しないよう注意してください。単にむち打ちを頚椎捻挫と称しているだけで、後述するバレリュー症候群等に当てはまる可能性も十分あります。

1.土屋の分類

土屋らは、むち打ちの病態を頚椎柱及び頚椎支持組織の損傷を一時的原因とし、それに神経、血管の器質的病変が種々の程度に関与して惹起されるものと考えて以下の5型に分類しています(栗宇一樹・古笛恵子編『交通事故によるむち打ち損傷問題 第二版』27頁等参照)。

(1)頚椎捻挫型
(2)根症状型
(3)バレー・リュー症状型
(4)根症状、バレー・リュー症状混合型
(5)脊髄症状型

(1)頚椎捻挫型のむち打ち
首やうなじ、肩甲骨部分の筋肉などの圧痛、頚椎運動制限、運動痛を主症状とし、神経症状は認められないか、認められても一過性であり部分的であるとされています。

(2)根症状型のむち打ち
(1)の頚椎捻挫型の症状に加え、末梢神経分布に一致した知覚障害および放散痛、反射異常、筋力低下、神経根症状誘発テスト陽性の症状を示すものです。

(3)バレー・リュー症状型のむち打ち
頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、視力低下、聴力低下などの不定症状を示すものです。

(4)根症状、バレー・リュー症状混合型のむち打ち
(2)の根症状型に加え、(3)のバレー・リュー症状型の症状を示すものです。

(5)脊髄症状型
深部腱反射の亢進、病的販社の出現などの脊髄症状を示すものです。

2.脳脊髄液減少症

土屋の分類には触れられていないもので、近年の裁判でも非常に争われている分野です。
低髄液圧症候群もこれに含まれます。
篠永教授が中心となって作成した脳脊髄液減少症研究会作成のガイドラインによれば、「脳脊髄液から脳脊髄液(髄液)が持続的ないし断続的に漏出することによって脳脊髄液が減少し、頭痛、頚部痛、めまい、耳鳴り、視機能障害、倦怠などさまざまな症状を呈する疾患である」とされています。
特徴としては起立性頭痛があげられるでしょうか。
ただ、脳脊髄液減少症ではその診断基準が争われる傾向にあります。
篠永教授らが作成したガイドラインに基づいて認容した事例もありますが、近年では否定例が主ですが国際頭痛学会のICHD-Ⅲβ版に依拠している裁判例が多いようです。

3.胸郭出口症候群

胸郭出口症候群というのは、腕神経叢と鎖骨下動脈、鎖骨下静脈が胸郭出口付近で頚骨、第一肋骨や、前斜角筋、中斜角筋、小胸筋などに圧迫・牽引されることで起きる症状の総称とされています。
上肢痛や上肢のしびれなどが生じる疾患の一つとされています。
レントゲン検査、モーレイテスト、アドソンテスト、ライトテストなどの診断方法があります。

4.繊維筋痛症

繊維筋痛症とは、「原因不明の全身の疼痛を主症状とし、不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴症状とする病気である。」「疼痛は、腱付着部炎や筋肉、関節などに及び四肢から身体全体に激しい疼痛が拡散し、この疼痛発生機序のひとつには下行性痛覚制御経路の障害があると考えられている」とされいます(日本線維筋痛症学会編『線維筋痛症診療ガイドライン2013』1頁)。

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